私たちは、日本語学習や交流活動を通し、多民族多文化共生社会の実現を目指します。

NGOふくやま日本語教室
ともだちひろば

沿革

日本語教室開催の背景・動機

参加者募集!
日本語教室運営ボランティア養成講座と日本語教室運営に向けて ワールドシップニュース22号(2002/4/20発行)より

日本語を学ぶ場がほしい!

 私たちは,ワールドシップとして活動する中で,外国籍住民から「日本語を学ぶ場がほしい。」という切実な声を耳にしてきました。特にここ数年は不況による解雇などが相次ぎ,再就職先を獲得するためには,日本語能力が必須条件となってきます。また,滞日年数が長くなるにつれ,日常会話には事欠かなくなってはいても,日本語の読み書きができないために,子どもの学校からのお便りが読めず,いつも不安を抱えているという人たちもいます。また,日本語ができない親を子どもたちが軽んじていったり,親子間のコミュニケーションが取れなくなったりしていると深刻なケースもあります。運転免許試験にパスすれば無免許運転をしなくて済むし,就職にも有利なので勉強したいという外国籍の少年たちもいます。この少年たちは,日本の小,中学校に通っていた経験を持っているので,日本語での会話には支障がありませんが,運転免許試験となると,事前に集中的に勉強しないとパスするのは難しいのです。

 外国籍住民に対して「郷に入ったら,郷に従え」という言葉がよく用いられます。でも,日本語や日本の習慣や制度を学ぶ場,その基本的な支援体制が欠けている状態では,日本で自立した生活を営むことは困難だと思います。福山市周辺で実施されている日本語教室はあまりにも数が少なく,それぞれの日本語レベルに対応できるような教室もないというのが現状です。

日本語教室開講

NGOふくやま日本語教室「ともだちひろば」開講! ワールドシップニュース24号(2002/12/1発行)より

 11月2日、NGOふくやま日本語教室「ともだちひろば」が開講しました。中国、インドネシア、カナダ、ペルー、ブラジルの5カ国16人の学習者と32人のボランティアが参加しての日本語教室です。(その後も学習者が増えています。楽しみ、楽しみ)

 5月25日から7月27日まで、ワールドシップが主催した「日本語教室運営ボランティア養成講座全10回」を修了した受講生が中心になって、8月から毎週土曜日を準備会にあてて、会議や作業を続けてきました。何もない所から、ひとつひとつ積み上げていく作業を根気よく続け、実現することができたのは、たったひとつ、お互いに学びあえる場、お互いの違いを尊重しあいながらそれを社会に発信していけるNGOならではの学ぶ場作りをしたいという共通の想いがあったからだと思います。

 以前、参加したあるセミナーで「福山でも日本語教室を作りたいけれども、ワールドシップでは人材的に困難だ」とこぼした時に「何でも自分たちだけでやろうと思ったら運動は広がりませんよ、社会的資源としての人材活用をしなければ。」というアドバイスをいただいたことがありました。この日本語教室の立ち上げの企画を作った時から、この1点のみが支えでした。そして、本当にいろいろな方たちに出会うことができました。今回の日本語教室の役員は、村田代表を除いて、この養成講座の受講者の中から自主的になっていただきましたし、夏以降、毎土曜日は日本語教室準備のためにあてて下さっていました。本当に大変な作業だったと思います。また3人のアドバイザーの先生方にご協力をいただくことができましたことは、本当に心強いことでした。そして、ボランティアの皆さんは、学習者と出会うことを本当に楽しみに準備をして下さっていました。このひとつ、ひとつの出会いと関わって下さる方たちの根気強い努力がなければ、この「ともだちひろば」は開くことさえできなかったと思います。

 そして、開講日には少し固かった学習者の皆さんの表情も、回を重ねるごとに少しずつやわらいできています。ぎりぎりの時間まで仕事をして、教室に飛び込んでこられる学習者の皆さん。おなかがすいたーっと言って、教室が終われば、また家路に急ぎます。子どもたちが待っているからね、と。そして、遠くの市から参加されている方もおられます。再就職先を探しても日本語ができずに断られ続け、日本語習得の必要性を痛いほど感じて学んでいる人、寒い、寒いを連発する常夏の国から研修に来ている青年たち。

 家族の問題、子どもの教育の問題、労災の問題、仕事の問題。それぞれがいろいろな困難を抱え、いろいろな目標を持って、参加しています。この教室の名前のように、お互いがともだちとして、同じ目線で広場を作っていけますように。そして、これから、いろいろなことがあっても、投げ出さず、分かり合える努力を続け、ベストな解決方法を共に考えていける仲間でありますように!

さらなる広がりを! 今後の課題として

 回を重ねるごとに、クチコミで「ともだちひろば」のことを知った学習希望者が増え、嬉しい悲鳴をあげている状況です。学習の質を高めるために、ボランティア側の研鑽がさらに必要とされるところであり、増える学習希望者に対応するために、ボランティアの補強も必要となってきています。

 現在、この教室は、学習者からの受講料と会員となって下さっているボランティアの方たちからの会費を運営資金として活動しています。学習の質を高めるための研修会やボランティアの補強の必要性、学習者の増加傾向を見ていますと、この脆弱な経済基盤の中で活動を続けていけるのかという一抹の不安にかられます。役員をはじめ、ほとんどのボランティアは、職を持ちながら活動に参加しており、交通費の援助なども一切ない無償でボランティアを担っています。

 教室の質を高め、実績を積み上げながら、「ともだちひろば」から地域に、自治体に発信を続け、移住外国人の自立に欠かせないこの日本語習得支援の場を安心して継続していけるような基盤作りや企画づくりを「ともだちひろば」とワールドシップとで協力しあいながら考えていきたいと思っています。そして、この「ともだちひろば」がさらに、子どもたちが集える場、そして、移住外国人女性の自立のために力をつけていく場というように、活動の輪が広がっていくようにと心から願います。

NGOふくやま日本語教室「ともだちひろば」発足までの記録

◆8月3日(土) 第1回日本語教室発足準備会

 5月25日から7月27日までの毎週土曜日全10回の日本語教室運営ボランティア 養成講座が終了した後、ワールドシップ事務局では、少し間をおいてから「日本語教室発足準備会」の呼びかけを行う予定でいた。しかし、熱心な講座修了者から、せっかくみんなの気持ちが盛り上がってきたのに、間を置かない方がよいのではないかという声があがった。

 そこで、養成講座終了の翌週に急遽、第1回の日本語教室発足準備会を開くことにして呼びかけを行った。猛暑の中の会議にも関わらず、予想以上の参加者があった。第1回目の会議ということで、参加者の自己紹介から始まり、今後の日本語教室運営について組織と運営資金についての説明(つまり組織も資金も何もないところから始めなければならないということ)やワールドシップのようなNGOが支援活動と両立して独自で日本語教室を運営している事例や他市町村の例などを紹介して、それぞれがどんな日本語教室を作りたいと思っているかというような想いを語り合う場となった。 そして、今後の取組日程についての話し合いを行う中で、実際にNGOとして日本語教室を立ち上げ、今は自治体と連携して教室を運営している広島県呉市の「ひまわり 21」の見学に行きたいと言う声が有志からあがり、その報告をもとに、詳細の運営案を作っていくことになった。(呉の日本語教室の西田代表とは、この会議の1週間前に広島市の集会で初めてお目にかかったばかりだったのに、図々しくも、開講にあたってのいろいろなアドバイスをお願いすることとなり、いろいろな形で支えていただいた。)

◆8月17日(土)呉市の日本語教室見学(ワールドシップ事務局2名、受講者1名)

 「ひまわり21」の西田美智代・代表にお世話になり、貴重なアドバイスや資料をいただき、また実際にいきいきした日本語教室を見学することができた。

◆8月18日(日)ワールドシップ事務局会議

 前日の呉市の日本語教室の見学報告やいただいた資料などをもとに、翌週に行う予定の第2回準備会に提出するための日本語教室の基本的な運営案の検討を行った。

◆8月24日(土)第2回日本語教室発足準備会

 事務局が提出した日本語教室運営案を検討し、基本的な方針を決定することができた。運営組織については、「日本語教室運営委員会」を作り、ワールドシップとは独立した形で運営していく体制をとることが承認された。また開講時間(土曜日夜7時から8時半)、開講場所(参画センター)、形式(小グループで)、教材、受講費(月に2000円)など詳細について検討が行われた。

◆8月31日(土)第3回日本語教室発足準備会

 規約や運営規則、ボランティア 募集要項などについての検討作業が行われた。 

◆9月7日の第4回日本語教室発足準備会

 役員(代表、副代表、事務局長、副事務局長、会計、広報、会計監査)の選出が行われた。また、日本語教室の名称が「NGOふくやま日本語教室ともだちひろば」と決定した。またこの会の規約などの検討も行われた。この日以降、この準備会の運営主体がワールドシップ事務局から日本語教室役員会と移行することとなった。

◆9月8日(日)役員会

 規約や運営規則など詳細に決まったことを文書にして印刷し、講座修了者に送り、日本語教室運営ボランティア会員募集をするために作業を行った。会員の募集の締切は、9月21日と設定した。

◆9月14日(土)役員会

 会員申込みの確認や学習者の募集要項などの検討を行う。

◆9月21日(土)役員会

 運営ボランティア会員の集約を行う。その後、総会開催に向けての検討、資料作成作業を行う。学習者募集要項の4言語翻訳版作成(英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語)を開始する。

◆9月28日(土)役員会

 総会と第1回運営委員会、学習者募集に向けての作業。

◆10月5日(土)第1回NGOふくやま日本語教室「ともだちひろば」総会

 会の規約、運営規則、役員について、予算案の承認が行われた。その後、日本語教室ボランティアが参加しての第1回運営委員会が行われ、教材についてと、今後の学習者募集とその組合せについての説明がなされた。この総会で承認されたことにより、学習者募集を開始した。多言語でのパンフレットを公民館、図書館、市役所市民課・市民生活課外国人相談窓口などに置き、募集。また福山市の外国語版広報にも掲載を依頼した。

◆10月12日(土)役員会及び学習者の面接、教材選定委員会開催。

 開講を前にした研修会実施計画及び教材の選定や準備、学習者とボランティアの組合せ検討を行う。

 アドバイザーの西山先生にも参加していただいての学習者との面接も実施。

◆10月19日(土)役員会

 教材選定についての検討、翌週の研修会の資料印刷など。

◆10月26日(土)事前研修会、運営委員会

 アドバイザーとしてご協力をいただいている有広清子先生をお迎えして「ボランティアの役割」をテーマに事前研修会を実施。

◆11月2日(土)NGOふくやま日本語教室「ともだちひろば」開講式

 学習者16人(国籍:ブラジル、ペルー、中国、カナダ、インドネシア)、ボランティア参加者32名(マンツーマンで、2人がペアになって隔週で行うため)が参加しての開講式を行い、その後引き続き、学習を開始する。